反対する人が一人でもいれば自分の気持ちも大きく揺らいでいたかもしれません。しかし今度は、自分が自分のために行きたいのだから、誰かにやめろと言われたって絶対あきらめない、と覚悟を決めることができました。約一週間の家出が終わって、何事もなかったかのように「ただいま」と家のドアを開けました。すぐに玄関の近くの父の部屋から「ちょっと来い」という声がして、部屋に入ると父と母が待ち受けていました。説教が始まるかと思いきや、父はただひと言「それでこれからどうするんや」と聞いただけでした。「東京大学を目指す」とわたしが答えると「ふうん」と言って、話はそれで終わりでした。その後はまた前と変わらない生活に戻りました。母が旅行の話を聞くみたいに「向こうで何してたん?」と聞くことはありましたが、結局わたしは家出に関して、殴られるどころか説教されることすらありませんでした。