「きびだんご」は岡山のお土産として有名だが、じつは北海道にも「きびだんご」という名産品があるということを知っているだろうか?ただし、このふたつは何の関係もなく別物である。きびだんごは、もともと桃太郎が犬、猿、雉をお伴に鬼ヶ島に鬼征伐に行ったときの携行食であったと伝えられている。岡山は、まさにこの桃太郎伝説発祥の地であり、古くから黍の産地であった。そこで作られたのが岡山のきびだんごだ。求肥をこねて丸め、白砂糖をまぶした団子で岡山の名産品となっている。一方、北海道のきびだんごは、大正十二年に谷田製菓が考案したもの。同社によれば、このお菓子は、商品名を考えていたときに、桃太郎の絵本がちょうど近くにあったため、ここからヒントを得て名づけられたという。キャラクターにも桃太郎が使われている。原材料は、麦芽水飴、砂糖、十勝産の豆を使った生飴、もち米である。これらを蒸気で温めながらじっくりと練り、混ぜ合わせて作られる。材料に自然のものしか使用していないため、温度によって固さが変わる。日持ちが良く、四ヵ月近く保存しておけるというのも特徴のひとつである。形は生産しやすいということもあって、長方形の棒状となっている。また、同じ名前といっても漢字表記は違っている。岡山のきびだんごが「吉備団子」であるのに対して、北海道は「起備団合」という漢字が当てられている。これには発売が関東大震災の後たったため、復興を願う気持ちと、北海道開拓時の助け合いの気持ちが込められているとされる。「災害などが『起』きることに『備』える、『団』結して力を『合』わせる」というわけだ。そうした思いが通じたのか、戦後の食料不足の時期に、炭鉱などへの支援物資に指定され、知名度が上がった。おかげで、北海道で「きびだんご」といえば、岡山のものではなく、谷田製菓のものを指すのだという。