ごみとは何なのか

2011-10-24

最近の日本では、ごみに関して次々と新しい呼び名が付けられてきた。たとえば、燃やせるごみ、または燃えるごみ(可燃ごみ)、燃えないごみ(不燃ごみ)、燃やせないごみ(焼却不適ごみ)、生ごみ、資源ごみ、粗大ごみ等々であり、二十世紀の半ばごろまでにはなかった呼び名が、今では広く使われている。「ごみ」という言葉は、大人も子供も感覚的には「じゃまなもの、役に立たないもの、捨てるもの」と理解しているが、そもそも「ごみ」とは何であろうか。昔は、といってもそんなに古いことではないが、ごみのことを塵芥と呼び、塵芥処理あるいは塵芥焼却場と言った表現がされていたが、いずれも常用漢字でないことから、現在では使われなくなってきた。漢字の〈塵〉と〈芥〉の意味について、漢和辞典を開いて見ると、〈塵〉は「ちり・ごみ・あくた」で、〈芥〉は「小さい草、転じてあくた・ごみ・ちり」と解釈してある。では、「ごみ」とは一体何を意味するのだろうか。小学館の『日本国語大辞典』では、ごみは「水の中に浮遊したり、沈殿している泥」「泥状のもの」「泥や土ぼこり」「その場所をよごしている、役に立たない、きたないもの。ちり、あくた、かす、くずなど」「役に立たず、価値のない、または、とるに足りない人や物を比喩的にいう」とある。そして、最初の解釈「水の中に浮遊したり、沈殿している泥」の例文として、『平家物語』巻第九に書かれている「後ろは水田のごみ深かりける壌の上に二人の者共、腰打ちかけて息づきゐたり」を挙げてある。すなわち、「ごみ」という言葉は、一一一九年から一一四三年の間に書かれたと伝えられている『平家物語』が世に出る前から、使われていた言葉ということになる。他の辞書では、ごみ(塵・芥)とは、「ちり・あくた・ほこり・つまらないもの無用のもの」と解釈してある。漢和辞典の記載からすると、ごみとは比較的小さいもののイメージである。そうすると、現在ごく一般的に使われている「粗大ごみ」という言葉は、必ずしも適切な表現ではないことになる。昔は人力車や牛車、馬車、箪笥や鏡台などの家具、戸や障子、襖といったものは何度も修理して使われ、簡単にごみとして捨てることはなかったから、「粗大ごみ」という言葉はまさに二十世紀後半の日本社会に相応しい現代用語かもしれない。