ヨーロッパでいうセレクトショップは、最近はやや事情が変わりつつあるものの、その多くは店や店主の嗜好が明確で、その世界観が品揃えや店の雰囲気にストレートに反映された小さな店であることが多い。顧客は、その店や店主の提案するセレクトや人柄に共感して訪れるケースが多いため、勢い常連やリピーターがその中心となる。70年代、80年代のビームスには、そういったある種の統一した世界観、美意識が見てとれたが、規模・売り上げが大きくなるにしたがい、顧客も多様化し、それは曖昧になり、拡散していく。それにつれてそれまでのビームスを支えていた一部のコアな客筋は徐々にビームスから遠ざかることになった。これは、ビームスに限らず、どの分野でもメジャー化を辿るうえでつきものの現象といっていい。自分たちだけのビームスが、みんなのビームスになり、メジャー化したことに、そういったファンは裏切られたような複雑な気持ちになったわけで、これはビームスと顧客の関係を、デビューしたてのアイドルとその熱狂的ファン心理に当てはめるとわかりやすい。